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【書評】 ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ

ロベルト・ジョビー(Roberto Giobbi)の偉業は「カード・カレッジ」の著者にあると思います。

この教本がAmazonなどでも出回るようになる以前に、CD-ROM教材を海外通販で購入しました。

これがまた不思議なメディアで、体裁はCD、DVDの円盤なのですが、メディアとしてはDVD映像ではなく、いわゆる電書籍的なものでした。

その時は、写真ではなくイラストを使った素朴な表現が、妙に親しみもあり、貧乏ったく(失礼!)もある印象がありましたが、カードマジックの基本を大切にしているという意味で興味深い教材でした。

イラストによる解説については、最初は馴染めないかもしれませんが、同氏はポリシーとして冒頭で「イラストの方が写真よりもテクニックを端的に正確に表現できる」と主張しています。


この考えには賛成できます。

写真というのは詳細で現実的なためにイメージが固定化してしまい、カードマジック技法の説明にはかえって向いていないのかもしれません。


自らは映像というもっと細かい、かつ固定観念を植え付けるメディアを使用していながら矛盾しているかもしれませんが、写真というのはイラストと映像の間の中途半端なメディアになっているのかもしれませんね。

日本における本格的なマジック教本としては、東京堂出版から数多く出版されていますが、こうした「集大成もの」としては、とテンヨーの「ターベル・コース(全8巻)」有名です。マジック全般を網羅していますから、この中にも優れたカードマジックは多く含まれています。

カード・カレッジはボリュームではターベル・コースに及ばないものの、カードマジックだけのジャンルでこれだけの量を著したのはマジシャンとしての偉業だと思います。

全4巻という圧倒的ボリュームで、いままで一部の研究家しか知らなかったようなテクニックや、演じ方、マジックに対する姿勢までも網羅した、日本語による書籍としての出版は、日本のカードマジック界への大きな貢献だと思います。

カードマジックに関する基礎知識やテクニックは、従来は解説本の冒頭に「基礎的なテクニック」とか「カードの部分の名称」とかで極く簡単に触れられているだけですが、カードマジックに関するこれだけ広い分野をカバーして解説した書籍は、「カード・カレッジ(全4巻)」が初めてだと思います。

ラリー・ジェニングスの「カードマジック入門」よりも基礎的な項目に関しては細かく多く述べられています。

そして、個々のテクニックについての解説も貴重ですが、カードマジックに対する考え方、演じ方などがかなり細かく著わされており、テクニック的なこと以外のいわゆる「ソフトウェア面」を考える上でも読み物として興味深いです。


例えば第2巻の第27章「セオリー」という章立てをもって、マジックを演じる方法、考え方が延々と述べられています。これは一読の価値があります。

第1巻に書かれている、私がいつもこだわっているカードのサイズ(ポーカー対ブリッジ)についての考え方も我が意を得たりという感がありました。(ヨーロッパではブリッジサイズもポピュラーだなんて知りませんでした)

それぞれが4,000円~4,500円と高価なため、おいそれと「全巻揃えましょう!」とは言えませんが、持っていて損は無い書籍です。

一方で、テクニック解説が分かり易いかと言えば、少々難解な部分もあります。

また、これでいいの?と思われる解説があったりします。

ラリー・ジェニングス観点で言えば、「落第!」のダブルリフトもあります。

このブログでも「ダブルリフト入門」のところで触れています(ご参考までに)
↓↓↓↓↓
http://magic.goodmen.jp/2008/10/post-21.html


欲を言えば「索引」が欲しいところです。たとえば、「ハーマン・カウント」の解説とそれを使っている作品があるかどうか知りたければ、各巻の目次を全てさらって探す必要があり、これは結構骨が折れます。同じ技法が章を分けて、難易度レベルや観点を変えて何回も取り上げられていますので。

そこで、皆さんがもし「カード・カレッジ」を入手したなら、ひとつアドバイスがあります。

それは、徹底的に読み込んで、遠慮なく汚すことです。

装丁が綺麗で立派な書籍なので、ちょっと丁寧に扱いたくなりますが、遠慮なく持ち歩き、ボロボロになるまで読み、気になったところにはマークをしてもいいでしょうし、ポストイットを貼り込んでもいいです。


とにかく、自分なりの「カード・カレッジの歩き方」みたいなものを作ってみることをお勧めします。

私の4冊は、ポストイットが多くなってしまい新たな混乱を招いています(笑)


技法解説、参考作品、賛同したい考え、反対してい考え、などで色分けをしているのですが・・・

とにかく高価で立派な本ですが、飾っておいては意味がありません。

別に専用のノート一冊を用意し、身に着いたテクニックや自分の工夫や考えを日記の様にメモしておくことをお勧めします。

(以上は、ハリぼんのカードマジックサロン Vol.6 (2009/8/23) の記事を再編、加筆したものです)

 

Harryの独断と偏見による評価(5点満点)

紹介されている技法・作品の数   ★★★★★

紹介されている技法・作品の応用性 ★★★★★

紹介されている作品の斬新さ    ★★★★☆

解説の分かり易さ         ★★★☆☆

 

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