今回はテクニックの紹介ではなく、自信をもって演技をするにはどうしたらよいか? という、マジシャンにとってテクニックの修得よりも大切なことを書いてみたいと思います。
メルマガの読者の皆さま、並びに当ブログへのフィードバックの中に、「マジックを演じる時の緊張をどのようにコントロールしたらよいか?」というご質問が数件あります。
この緊張との戦いに悩んでいる方は多いのだと思いますが、かく言う私も悩んできました。 それに今でも手の多汗症(突発性)は治っていません。
ひどい時にはテーブルに1~2分置いていただけの手のどけると、テーブルに薄っすらと鏡が曇ったときのような蒸気跡が見えるくらいです。
汗なら直前に冷たい水で手を洗うとか、おしぼりで拭っておくとか、対策もあるのですが、困るのは手の震えです。
今でこそほぼ克服できていますが、かつては大分悩まされました。
一人で練習している時はうまくいくテクニックが、実践になると手が震えてうまくいかないことに悩んだ時期があります。
そんな時、気持ちが吹っ切れることがありました。
これを境に別人の様に緊張を克服できた、なんて都合の良いことは起こらなかったのですが、少しは「緊張感」というものと折り合いをつけながら歩むことが出来るようになった気がします。
それはある日のこと・・・。
10代の頃だったと記憶していますが、プロのマジシャンを囲んでの懇談会みたいな集いがあって、そこで誰かが訊いたんですね。「僕は本番で緊張して、演技を失敗することが多くて悩んでいます」と。
(カードマジックだけでなく、マジック全般、ステージも含めての話題でした)
で、同席していたプロ・マジシャンの方のコメントは、
「それは当り前。僕でも未だにステージに上がる前は凄く緊張します。緊張しない方がおかしい。緊張からくる失敗は緊張を収めようとするのではなく、練習を積んできた自信によって克服する。」と。
この言葉を聞いて元気が出たことを覚えています。
プロでも誰でも、緊張はするのだ。
そしてそれを克服するのは練習だ、と。
その後色々と悩みながら、マジックを演じるためのトレーニングとして考えたのが次の5つです。
1)練習を重ねて失敗しない自信をつける。
2)とにかく沢山マジックを披露する。
3)演技の時には自分のテクニックや手順ではなく、「お客さん」に対して意識を集中する。
4)簡単な、テクニック不要のマジックを、演出によって不思議にさせるようなレパートリーを多く持つ。
5)たとえ演技中に失敗したとしても、「この世の終わり」とか「人間失格」などとは思わない。 「たかがマジック」と考える。
それぞれに心構えや練習方法がありますが、今回は(1)の失敗しない自身をつける練習のことについてお話しします。
本番での成功率を高めるためには、惰性でダラダラと練習しないで、集中力を維持しながらの練習が欠かせません。
ではどうするか?
私がトレーニングしたのは、連続無失敗記録への挑戦です。
例えば、エルムズレイ・カウントをやってみる。 50回連続で失敗しないことを目標とする。
成功する毎に「一回、二回、三回・・・」と数えていくのです。
失敗したら、また一回めに戻ってやり直しです。
たとえ49回目、50回目でも失敗したらやり直し。 また一からやり直すんです(汗)。
50回という目標が高すぎて逆に集中力が欠けてくるようだったら、20回とか30回とか自分の現在のレベルに合わせて目標を設定し、それができたら目標値を上げていくとよいでしょう。
実はこういう方法を採用しているスポーツ選手が知り合いにいます。
一人はアマチュアのゴルファーですが、腕前はシングル。
練習場に行くと、100ヤード以内からグリーンに30回連続で乗せるという練習を実践してます。
もう一人はバスケットボールの選手、こちらもアマチュアですがスターティングメンバーに選ばれるための熾烈な競走を勝ち抜く根性を見せています。
3ポイントシュートの10回連続成功。 練習の仕上げにこれを達成しない限り、その日の練習を終えないことを自分に言い聞かせたと言います。
実際は出来ない時にはさすがに長時間のシュートに筋力が持ちこたえずに、いくらやっても入らなくなるので、妥協をすることはあるとのことですが、その時の悔しさを維持して翌日に臨んだり、「前回できなかったから」と翌日は10回を超えても止めずに11回、12回と、続けることもあるそうです。
どちらも上達を数字目標に置き換えて、技術力と集中力を向上を図っているわけですね。
例えば僕は最初に、エルムズレイ・カウントとジョーダン・カウントを交互に行うのをワンセットにして、20セット連続無失敗を目標にしてみました。 正直難しかったです。
他に、ダブルリフト30回。 パス50回とか。 連続無失敗目標は主要なテクニックには取り入れて練習に励んだ時期がありました。
是非、皆さんも挑戦してみてください。 漫然とテクニックの練習をするより緊張感がありますよ。
次回は(2)以降のお話をご紹介していきます。
1日4分自己催眠トレーニング『脱!!恐怖症プログラム』